企業経営理論の第一人者が書く、人生経営の本『イノベーション・オブ・ライフ』
本著「イノベーション・オブ・ライフ ハーバード・ビジネススクールを巣立つ君たちへ」は 著者クリステンセンが当時在籍していたエリート大学のハーバードビジネススクールでの自身の友人らが卒業したのちの良くも悪くもそれぞれ異なる顛末を見ていて考察された、人生における「仕事」「家族」「善悪」等、主要なジレンマへの行動の指南を書いています。
『イノベーションのジレンマ』の「個人」版とも言える著書になっています。
以下は、章ごとなどで抜粋した読書メモになります。
*
・第1講 羽があるからといって
理論の力
経験をせずとも、未来を予測できるようになる
飛行
翼と腕は相関
本当の因果は揚力 ベルヌーイの定理
過去のみを調べるのはバックミラーしか見ないで運転するようなもの
◯第1部 幸せなキャリアを歩む
妥協は心を蝕む
企業の戦略は個人の戦略とも通ずる、どちらにも意図があるから
計画と創発にはそれぞれ適した時期と場所がある
戦略は持続的にサイクルで作られる
・第2講 私たちを動かすもの
動機付け
会社では研究員であり、家庭では妻であり母であるダイアナの仕事終わり帰宅時の2パターンの想像
誘因(インセンティブ)と動機付け(モチベーション)は違う
-インセンティブ理論 ジェンセンとメックリング 経済学者
「なぜ経営者は株主の利益に沿う行動をしないことがあるのか」
→株価上昇が経営者の報酬増につながればよい
-動機づけ理論 ハーズバーグ
衛生要因(報酬含む)と動機づけ要因
★「仕事に不満がある」の反対は「仕事に満足している」ではなく「仕事に不満がない」だ。
満足と不満足は連続する指標ではない それぞれ別のもの
例:快適な職場や良好な社内関係、家族を養える給料があるからといって、仕事を"本心から"好きになるわけではない。嫌いにならないだけ。
動機づけは"本心から"何かをしたいと人に思わせること
成長・評価・責任・やりがい
動機づけは仕事そのものに内在している
例:家の庭で子どもと試行錯誤で高い達成感のもとプレイハウスを作っていたが、完成しても遊ばなかった話
→子どもは家を手に入れたかったわけでなく建てたかった
→結果でなくプロセスに動機づけが内在していた一例
HBSの生徒の進路の話:
入学時
「起業や慈善事業など、意義あることをやりたい」
→
卒業時
「ローンを返すための2年だけ給料重視で働いたら、その後は自分の好きなことやるさ」
銀行やファンドマネージャーなど
収入重視
→
2年後「あと1年…」「ほかに何をすればいいかわからない」
→
そのうち「仕事が嫌になってきた」
?:身動きがとれない(給料に見合った贅沢なライフスタイルを送っていて、今更は変えがたいから)
>
★お金が不幸の根本原因ではない
ダメなのはお金が、お金だけが最優先になってしまうこと
≒報酬を含む衛生要因が既に満たされているのに、(欲張って)更に多くのお金を得ること”だけ”が目的になってしまうこと
動機づけ要因は時間を経ても変わらない。ゆえに、指針にできる。
・第3講 計算と幸運のバランス
創発的戦略と意図的戦略
事例:
-ホンダ 対ハーレー戦略→オイル漏れ損害→社員らでカブでドライブ→ディーラーに認知され卸が決定
-ウォルマート
戦略は予期された機会と予期されない機会が組み合わさって生まれる
問題をじっと考えていれば、いつか答えがひらめくものではない
自分のキャリアでこれという仕事がまだ見つかっていない状況で人生の向かう先がはっきり見えるのをただ漫然と待っているのは時間の無駄だとわかる
考えがまとまらないうちは人生の窓を開け放しておこう
状況に応じ、衛生要因を満たしつつ、動機付け要因を与えてくれる仕事が見つかるはずだ
発見志向計画法 DDF法
アイディア、プロジェクトの計画実現の基盤となる「仮定」のリストアップと優先付
例:ディズニーランドのパリ開園(前提、仮定の誤りによる失敗例)
*仕事レベルの話
人生、世界のビジョン ミッションレベルはどう戦略を立てるのか
・第4講 口で言ってるだけでは戦略にならない
成功の誤った尺度
携帯型超音波診断装置開発のソノサイトの営業らが、今後の売れ筋の小型製品を説明するようにという代表の忠告を現在の歩合制の給与体系からその利ざやの低さと手間により無視し、既存商品しか説明しない話
達成動機が高い人が陥りがちな苦境:
ボーナスや仕事の成果など今すぐ見返りが得られるものを優先してしまい
家族や子どもなど長い時間をかけないと見返りが得られないものを後回しにしてしまうこと。
後で戻れると思っていった道が実は袋小路だった
◆第2部 幸せな関係を築く
・第5講 時を刻み続ける時計
新規事業の初期段階
どういう戦略が当たるかわからない
「成長は気長に、利益は性急に」
>
利益が出て戦略が見つかる
「成長は性急に、利益は気長に」
from 最終的に成功した企業の93%は当初の戦略を断念してた(≒断念し、次の戦略へ切り替える資金的余裕があった)
『新規事業の起源と進化』
・将来の幸せに投資する
好例 映画『素晴らしき哉、人生!』のジョージベイリー
失職、離婚、闘病時にそばにいてくれる人がいない辛さ
・人生の投資を後回しにするリスク
生後1年で声をかけられた言葉、単語の数はその後の語彙や読解の成績に強く相関
余計なおしゃべり
「もし〜〜だったら」「覚えてる?」「どっちがいいかな?」
思ったこと、子どもがしてること、しようとしてること、身の回りについてあれこれ話す
・第6講 そのミルクシェイクは何のために雇ったのか?
ターゲット、人でなく「用事」(どういう時?)に着目する。
ミルクシェイク
朝の長い通勤時間の手持ちぶさたを解消したい時→フルーツ入りでより腹持ちを
ねだる子どもに父親の優しさを見せたい時→半分サイズで手早く
モンゴルは夏、冬は気温、特に春は砂嵐がきつい
・第7講 子どもたちをテセウスの船に乗せる
習いごとを通わせ過ぎて自分で選んで困難を乗り越える経験がなく後で折れやすい人になる問題
≒デルのアウトソーシングで企業力が落ちた問題
◆ 第3部 罪人にならない
・第10講 この一度だけ
2010年に破産したブロックバスターとDVD郵送のネットフリックス
赤字価格で借りれるけど延滞したら金出るか、最初から全部与えてたくさん見られたら損するけど見る見ないに問わず年月すぎたら自動引き落としされるかの違い。時間制限、儲けてる金、キャッシュポイントは一緒。アプローチが異なるだけ。
・終講
目的: 自画像(自分で描く、目指すもの)、献身(行動が必要)、尺度(進捗を知り、一貫性を保つもの)
目的がない企業にとってどんな経営理論も価値がない
目的はいつのまにかにあらわれない 運任せにしてもいけない 届けられるものでもない
目的は明確な意図をもって構想、選択し、追求するもの
全体像をとらえるには集計の必要がある。
しかし神は功績の評価に集計や統計などいらない。ただ一つ、個人、への手助け、何をしたか、だ。
大学教授にとっての表現性失語症の辛さ
"じっくり時間をかけて人生の目的を考えれば、あとから振り返ったとき、それが人生で学んだ最も大切なことだったと必ず思うはずだ"
*
・仕事をする大きく2つの理由:衛生要因(給料)と動機付け要因(意義=成長、評価、責任)がある。仕事の充実感は親密な人との関わりによる幸せとは比較にならない。・2つの人生の戦略:人生の戦略には、意図的戦略(そこへいくための仮説がどれだけ正しいかを検証、検討すること)と、創発的戦略(意図的だけに偏らない、柔軟でいること)がある。・人生の目的から:"目的を構想、決定、管理した後に創発的態度へ"★終講でこの目的を持つことが何より重要だと述べられてるその目的に必要な、3つの柱:-最終的になる「自画像」イメージ、それを描くこと-そのための資源、時間の投資による「献身」、それを信じる・貫くこと-自分が人生を全うできたと思える正しい独自の「モノサシ」、それを持つこと
現在はこの、目的を時間をかけて構想しているところです。
早く見い出して、人生を前進していきます。